就活でハラスメントまがいのことをする面接官は、相手がいち消費者であるという想像力が欠如している

はじめに

面接は就職活動の重要な一環であり、企業と求職者が互いを理解し、適性を見極めるための場です。しかし、一部の面接官がハラスメントに近い行動を取ることで、求職者にとって大きなストレスや不安を引き起こすことがあります。こうした行動は、企業にとっても求職者にとっても大きなマイナスです。

ハラスメントまがいの行動とは何か


面接官が行う不適切な質問や態度の例は数多くあります。例えば、質問に対し答えた求職者への執拗なダメ出しや否定的な意見などです。ある求職者は、面接中に片親の家庭だったことを話した際、「そんな家庭ではまともな人間に育たない」と言われ、本人の人格を否定されただけでなく、育ててくれた親のことまで悪く言われ、非常に不快な思いをしたと語っています。また、別の求職者は、面接官から高圧的な態度を取られ、自信を喪失したと述べています。

面接官も人間なので、体調や気持ちの浮き沈みが業務の遂行に影響を与えてしまうこともあるでしょうが、会社を代表して、求職者とのマッチングを行っていることを忘れてはなりません。

面接官と求職者は、あくまでも対等であり、目の前の人が自社に合っているか?結果的に実力を遺憾なく発揮してもらえそうか?を判断することが面接の目的です。
ですが、就職したい人が立場上「お願いする」側になりやすく、逆に企業は「選ぶ」側に回ります。求職者は、面接官の背後にある「会社の看板」を見ているのです。それを勘違いして「会ってやる」「話を聞いてやる」「時間を割いてやる」「選んでやる」という上から目線で面接にのぞんだところで、良い人材など確保できるわけがありません。

ハラスメントが企業に与える影響


ハラスメントを受けた求職者は、その企業に対して非常に悪い印象を持ちます。面接官の態度や行動が企業全体のイメージを左右するため、ハラスメント行為は企業の評判に直結します。求職者は自身の体験をSNSや口コミサイトでシェアし、その情報が広まることで企業の評価が低下します。特に若い世代はSNSを積極的に利用するため、悪い評判が一気に拡散される可能性があります。

結果的に、企業のブランドイメージが低下することになります。ハラスメントまがいの行動が明るみに出ると、顧客や取引先からの信頼も失われるリスクがあります。求職者が将来的に顧客やビジネスパートナー、そして株主になる可能性を考慮すると、ハラスメント行為は企業の長期的なビジネスに悪影響を及ぼすことは明白です。企業は一度失った信頼を取り戻すために多大な労力と時間を要することになります。

面接官の役割と想像力の欠如

面接官は、公正かつ相手への尊敬の念を持って求職者と接する責任があります。面接は企業の顔として求職者に対して企業の文化や価値観を伝える場であり、面接官の言動は企業全体のイメージを形成します。面接官が不適切な行動を取ることは、企業のブランドを損なうだけでなく、優秀な人材を失う原因にもなります。

求職者が未来の顧客や取引先、株主になるかもしれないことを、面接官は忘れてはなりません。ある面接官は、人事から異動で営業に変わり、売り込みに行った先の担当からけんもほろろに追い返され、その際、自分が酷い扱いをした求職者だったことを告げられた、あの時の対応を大変後悔している、と話してくれました。これは企業にとっても重大なリスクです。自分の対応が、将来にわたりどのような影響をおよぼすか、想像力が欠如していると、因果応報を受ける形になってしまいます。このような事態を避けるためには、面接官には広い視野と未来を見据えた行動が求められます。

残念ながら、面接の最後に「まあ、あなたとはもう会うこともないでしょうけど」といった捨て台詞を吐く採用担当者が多いのも現実です。こうした発言は、求職者に対する敬意の欠如を示すだけでなく、企業全体の文化や価値観を低く見せる要因となります。求職者はこのような言動を受けて、企業に対する信頼を失い、将来的に顧客や取引先として関わりを持つことを避ける可能性があります。面接官は、自身の発言が企業のイメージを左右することを認識し、慎重に言動を選ぶ必要があります。

求職者へのフォローと話し方の改善


面接後のフォローは、求職者に対する企業の印象を大きく左右します。不採用の連絡をする際には、丁寧かつ配慮のある言葉を選びましょう。例えば、「今回の結果は残念ながらご希望に沿うものではありませんでしたが、あなたのスキルや経験は非常に印象的でした。将来的に再び機会がありましたら、ぜひご応募いただければと思います」といった言葉を添えることで、求職者に対する敬意と感謝の意を示すことができます。

また、これは私が研修をするたびに例として挙げているのですが、ある国際的な演奏家は、自分の弟子がレッスンのために曲を弾いた場合でも「僕のために演奏してくれてありがとう」と告げてから、改善点を話すそうです。これならば、指摘も指導も素直に聞き入れることができます。面接でも、同じことができます。求職者に感謝と応援の言葉を伝えれば良いのです。「本日はお忙しい中、貴重なお時間を割いていただきありがとうございました。本日の結果は後日お知らせします。どのような結果となってもこれからのご活躍が楽しみです」といった言葉をかけることで、求職者に対する敬意と感謝の意を伝えることができます。このようなフォローを行うことで、求職者は不採用であっても企業に対して好感を持ち続けることができるでしょう。

企業文化の改善と面接官の教育

ハラスメント防止のためには、面接官に対する教育プログラムの導入が不可欠です。面接官に対して適切な質問や態度についてのトレーニングを行い、ハラスメント行為を未然に防ぐことが重要です。また、面接プロセスの見直しと改善も必要です。定期的に面接のフィードバックを収集し、改善点を洗い出すことで、より良い面接体験を提供することができます。

面接官だけでなく、企業全体としてのハラスメント防止の意識向上も欠かせません。教育を通じて、全ての従業員が尊重し合い、働きやすい環境を作ることが求められます。企業文化が改善されることで、面接官だけでなく、全ての従業員がハラスメント行為を避け、相手を尊重する姿勢を持つようになります。

まとめ

ハラスメントまがいの行動が企業に与えるマイナスの影響は非常に大きいです。面接官は、自身の言動が企業全体のイメージを左右することを認識し、尊敬の気持ちと共感を持って求職者と接することが求められます。企業は、面接官に対する教育を強化し、ハラスメント行為を防止するための対策を講じることが重要です。人の「ご縁」は、どこでどうつながるかわかりません。視座を高く、未来の社会人を育てる、目の前の人から貪欲に学び取る、くらいの気持ちで面接にのぞみ、求職者も面接官も、有意義な時間を共有できるように、その時間があなたの人格を育て、人徳を積めるようにお祈りしております。

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